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2023.09.05 異形成とは?

異形成とは正常な状態とがんに挟まれた移行段階です。正常に近いところから軽度(CIN1)→中等度(CIN2)→高度(CIN3)と段階的に悪化していきます。必ず悪化するわけではありません。

軽度異形成から高度異形成以上の病変に進展するリスクは15%前後。30歳未満の若い女性では90%程度が自然消退します。HPVのハイリスク型の感染がある方の中で一部に進行がみられるため、HPVハイリスク感染例では半年毎の細胞診検査が推奨されています。

中等度異形成から高度異形成以上の病変に進展するリスクは23%前後。軽度異形成と同様に若い女性では相当数(2年で33%、5年で63%、10年で82%)が自然消退していきます。軽度異形成よりは進展リスクが高いため定期検査の頻度が短くなります。

軽度異形成~中等度異形成では自然消退をする例が多いためすぐに処置は行いません。中等度異形成でハイリスクHPV感染陽性例や、長い経過をみて自然消退しない場合や悪化が疑われる場合、ご本人の強い意志がある場合には外科的処置に進みます。

高度異形成では上皮内癌との共存がわずかながら見られる例があるため外科的処置をお勧めしています。

異形成に対するおくすりの治療は現在のところ開発されていません。治療は円錐切除もしくはレーザー蒸散という外科的な治療になります。円錐切除は子宮頚部が短縮するため妊娠時の早産リスクを上げる可能性があります。麻酔が必要となる手術のため1泊から2泊の入院が必要な場合がほとんどです。病変ができやすい部分を切除し検体がでるため取りきれたかどうかの判断を行うことが可能です。一方、レーザー蒸散には早産リスクを上げる可能性はありません。外来での処置が可能です。レーザー蒸散では病変を取り除くということはできません。その場で焼いて治療をするため、取り除けたかどうかの判断は経過をみないと判断できません。

円錐切除・レーザー蒸散では術後に子宮の出口が狭くなり、子宮体癌の検査が困難になる場合があります。そのため、閉経後の方や今後ご妊娠を希望されない方では子宮全摘をお勧めする施設もあります。

子宮頚がんは段階的に進行します。異形成の段階では自然消退をする可能性もあります。子宮頚がんは早期で治療を行えば、完治が望める病気です。定期的にがん検診を受けて異常が出た場合には精密検査を必ず受けてください。当院では受診当日にコルポスコープ下組織生検を行うことが可能です。

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